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マンションの建替えの円滑化等に関する法律の運用の適正化 (第89条・第57条第3項及び第65条)に関する通知について
 
1.通知の発出について
マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下「円滑化法」という。)の運用の適正化については、第89条に関して平成19年12月に、第57条第3項及び第65条に関して平成20年3月に、国土交通省から認可権者である都道府県等に通知を発出したところである。第89条に関する通知文については、既に掲載されているところであるが、今般、第57条第3項及び第65条に関する通知が発出されたので、合わせて通知の内容等について、以下に紹介する。
2.通知発出の経緯
  マンションの建替えについては、これまで、円滑化法の制定や建物の区分所有等に関する法律の改正により法制度が整備されたほか、補助、融資、税制等の支援制度が設けられているところであるが、マンションの建替えは平成19年10月1日現在完了のもので115件(国土交通省調べ。被災マンションを除く。)にとどまっている状況である。平成14年の円滑化法の施行後は、円滑化法によるマンション建替事業が実施されているが、これまで事業完了件数は12件、事業実施中の件数は24件(平成19年10月1日現在)であり、一層の建替えの円滑化が要請されている。
 
特に、円滑化法の運用について、法の規定するところの内容が不明確な点があり抵当権者の同意が得られない場合の対応に苦慮する、隣接施行敷地所有者や借地型マンションにおける底地所有者にとってマンション建替え事業に参画するインセンティブが働いていないといった課題があった。
 
こうしたなか、規制改革会議の答申を踏まえ、規制改革推進のための3か年計画(平成19年6月22日閣議決定)において、以下の点について円滑化法の運用の適正化を図ることが定められた(閣議決定内容については、課長通知の別添を参照されたい)。閣議決定の概要は以下のとおりである。
(1) 抵当権者の同意 
  権利変換計画の認可申請に当たり、抵当権者から同意を得られない場合に「損害を与えないようにするための措置」等を記載した書面の添付を求めているが、この内容が不明確なため、権利変換の手続の円滑化を図る観点から「損害を与えないようにするための措置」について具体的な例示を検討し、その成果を認可権者である都道府県に対し周知する。
 
(2) 隣接地所有者及び借地型マンションにおける底地所有者の取扱い 
  隣接施行敷地所有者及び借地型マンションにおける底地所有者について、組合員全員の同意がない場合においても、区分所有権者等と同等に特定分譲を受けることができる旨を周知徹底する。
 
この閣議決定を踏まえ、(2)に関して平成19年12月に円滑化法第89条の規定の運用についての通知を、(1)に関して平成20年3月に円滑化法第57条第3項及び第65条の規定の運用についての通知を発出したものである。
3.円滑化法第89条の規定の運用についての通知(特定分譲の取扱いに関する通知)
  閣議決定事項のうち、(2)に関しては、平成19年12月25日付けで都道府県・指定都市・中核市・特例市の担当主務部局長に対し、国土交通省住宅局市街地建築課長通知「マンションの建替えの円滑化等に関する法律第89条の規定の運用について(技術的助言)」を発出している。
 
同通知は、円滑化法第89条の保留床又は保留敷地の公募に関する取扱いを示したものであり、基本的には既にマンション建替え実務マニュアル(H17.11)に記載されていたもの(「隣接地所有者への保留床の特定分譲」の項)について内容を整理し、課長通知として周知したものである。
 
同通知においては、隣接施行敷地の所有権若しくは借地権又は施行マンションの底地権を有する者(以下「隣接施行敷地所有者等」という。)については、権利変換の処分によって、権利を失うか、自らの土地の使用について制約を受けることとなり、権利変換計画について同意を必要としていることから、従前の権利者と同様の立場であるとし、隣接施行敷地所有者等の居住又は業務の用に供するため特に必要がある場合においては、施行者が取得した保留床又は保留敷地に関する権利について、公募によらずに譲渡することが可能であると解されるとしている。(実務マニュアルでは隣接地所有者のみが記載されているが、課長通知においては、隣接施行敷地の所有権若しくは借地権又は施行マンションの底地権を有する者を対象として整理している。)
 
なお、隣接施行敷地所有者等については、通知文の最後に示しているとおり参加組合員に位置づけることも一つの方法である。この場合、隣接施行敷地所有者等は権利変換計画に基づき、施行再建マンションの区分所有権及び敷地利用権を取得することができる。

また、事業協力者が参加組合員となっている場合には、参加組合員が取得する施行再建マンションの区分所有権及び敷地利用権を隣接施行敷地所有者等に分譲することができるので、この方法によって対処することも一つの方法である(この方法は自明であるので、通知文では特に触れていない)。
 

(参考)

マンションの建替えの円滑化等に関する法律 (施行者が取得した権利の処分) 第八十九条 マンション建替事業により施行者が取得した施行再建マンションの区分所有権及び敷地利用権又は保留敷地に関する権利は、施行マンションの区分所有権若しくは敷地利用権を有していた者又は施行マンションについて借家権を有していた者の居住又は業務の用に供するため特に必要がある場合を除き、原則として、公募により譲渡しなければならない。
 
4.円滑化法第57条第3項及び第65条の規定の運用についての通知(損害を与えないようにするための措置の明確化に関する通知)
  閣議決定事項のうち、(1)に関しては、平成20年3月31日付けで都道府県・指定都市・中核市・特例市の担当主務部局長に対し、国土交通省住宅局市街地建築課長通知「マンションの建替えの円滑化等に関する法律第57条第3項及び第65条の規定の運用について(技術的助言)」を発出している。
  同通知は、円滑化法第57条第3項の「損害を与えないようにするための措置」の具体的な内容等を示したものであり、権利変換計画の認可について、「損害を与えないようにするための措置」が適切に講じられているなど第65条各号のいずれにも該当すると認めるときは、迅速かつ適切に認可の手続を行うものとするよう求めている。

通知の概要は以下のとおりである。

 

(1) 「損害を与えないようにするための措置」を記載した書面が必要とされる理由
マンション建替事業の権利変換計画の認可の申請時に、未同意者について「損害を与えないようにするための措置」を記載した書面が必要とされるのは、以下の2つの理由による。
a. 市街地再開発事業及び防災街区整備事業とは異なり、権利変換期日前後の権利についていわゆる等価原則をとっていないため、従後の価額が従前の価額より小さくなることも許容される
b. 市街地再開発事業及び防災街区整備事業とは異なり、事業代行制度が設けられていないため、施行マンションの除却後に事業が頓挫することがあり得る 
したがって、a.等価原則をとっていないこと、b.事業の頓挫があり得ることに対応した措置が講じられる必要がある。 
 
(2)  未同意者の分類 
  未同意者については、権利の種別又はその権利が目的とする権利により以下のとおり分類される。 
  1. 権利の種別による分類
      ア. 担保権等の登記に係る権利  
        先取特権、質権又は抵当権(抵当権等)
        仮登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記に係る権利(仮登記等に係る権利)
      イ. その他の権利
      建物の所有を目的としない地上権若しくは賃借権、永小作権、地役権又は採石権
  2. 目的とする権利による分類
        施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を目的とするもの
        底地権を目的とするもの
        隣接施行敷地の所有権又は敷地権を目的とするもの
 
  (3) 未同意者が「施行マンションの区分所有権又は敷地利用権」を目的とする「担保権等の登記に係る権利」を有する者である場合の取扱い
    1. 施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者が権利変換を希望しない場合
      補償金について供託及び物上代位の規定が設けられているので、法律上の手続によって損害は生じないものとしている。
    2. 施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者が権利変換を希望する場合
      ア. 従前の価額より小さくならないとき
        「a.等価原則をとっていないことに対応した措置」は不要であり、後述の「b.事業の頓挫に対応した措置」のみで足りるものとしている。
      イ. 従前の価額より小さくなるとき
        a. 等価原則をとっていないことに対応した措置
          (1)a.に対応した措置については、債権の保全のための権利である抵当権等と、仮登記等に係る権利とに場合を分けて整理している。抵当権等については、権利価額が減少する場合における清算金について供託及び物上代位に関する規定が設けられているので、法律上の措置によって損害は生じないものとしている。

一方で、仮登記等に係る権利については、目的とする権利の価額が減少することが損害となりうるため、目的となっている権利の価額の減少に対応して保留床への権利設定、保留床の分譲等を行うことを、必要な措置として示している。
        b. 事業の頓挫に対応した措置
          (1)b.に対応した措置については、事業が頓挫した場合にも未同意者が損害を被ることのないようにするための措置又は事業が頓挫することのないよう事業の完成を確実なものとするための措置が講じられる必要があるとしている。

事業頓挫に対応した措置の具体例として、以下の方法を示し、原則としてA又はBの措置を講じることとし、これにより難い場合はC及びDの措置(Eも合わせて措置することが望ましい)を講じることとするのが適切であるとしている。
          A) 事業が頓挫した場合、参加組合員等の事業協力者が未同意者に対し、損害賠償責任を負うことをあらかじめ約すること
          B) 事業が頓挫した場合、区分所有者等が被担保債務の弁済又は別の不動産への権利の付け替えを行うことや、施行者又は第三者が代わりに被担保債務の弁済を行うこと等をあらかじめ約すること
          C) 施行再建マンションの建築工事について完成保証を受ける又は履行保証保険を付保すること
          D) 金融機関から事業施行のための融資についてあらかじめ確約を受けること
          E) 事業実施に当たって発生した施行者の賠償責任を補償する保険機能を付保すること
          事業の頓挫に対応した措置の詳細については、通知の別紙1に整理されている。
 
  このほか、既に債務を弁済しており単に登記のみが残っている場合は債務の弁済を証明する書面によって、残債全ての弁済を予定しているが相手方が受領を拒んでいる場合は残債の供託を証明する書面によって「損害を与えないようにするための措置」を確認するものとしている。
 
  (4) 未同意者が「その他の権利」を有する者である場合等の取扱い
    「その他の権利」は権利変換の対象とならず残存することから、「損害を与えないようにするための措置」については、事業の実施によってこれらの権利を侵害することのないような計画となっており、工事期間中も権利の保全が図られる計画となっていることを確認するものとしている。

「底地権を目的とする権利」「隣接施行敷地の所有権又は借地権を目的とする権利」については、事前に抹消等の手続をすべきだが、やむを得ずこれらの権利を有する者の同意を得られないまま権利変換計画認可申請をする場合には、「損害を与えないようにするための措置」について、底地権の価額が確保されていること等を確認するものとしている。

また、売渡し請求、買取り請求又は任意取得により施行者等が区分所有権又は敷地利用権を有する者となっているときの取扱いは、(3)1、2と同様となる。
 
  以上のことについて、未同意者の権利の種別又は目的とする権利の分類ごとの「損害を与えないようにするための措置」については、通知の別紙2に整理されている。
(参考) 
マンションの建替えの円滑化等に関する法律
(権利変換計画の決定及び認可)
第五十七条  施行者は、前条の規定による手続に必要な期間の経過後、遅滞なく、権利変換計画を定めなければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けなければならない。
 施行者は、前項後段の規定による認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あらかじめ、組合にあっては総会の議決を経るとともに施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得、個人施行者にあっては施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)について権利を有する者の同意を得なければならない。ただし、次に掲げる者については、この限りでない。
  区分所有法第六十九条の規定により同条第一項に規定する特定建物である施行マンションの建替えを行うことができるときは、当該施行マンションの所在する土地(これに関する権利を含む。)の共有者である団地内建物の区分所有法第六十五条に規定する団地建物所有者(以下単に「団地建物所有者」という。)
  その権利をもって施行者に対抗することができない者
 前項の場合において、区分所有権等以外の権利を有する者から同意を得られないときは、その同意を得られない理由及び同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措置を記載した書面を添えて、第一項後段の規定による認可を申請することができる。
4  (略)
 
(認可の基準)
第六十五条 都道府県知事は、第57条第1項後段の規定による認可の申請があった場合において、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その認可をしなければならない。
  一、 二(略)
  権利変換計画について区分所有権等以外の権利を有する者の同意を得られないことについて正当な理由があり、かつ、同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措置が適切なものであること。
四、五(略)
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マンション再生協会