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建替え決議が成立するまでは原則として大規模修繕計画と建替え計画は並行的に検討することが必要です。
当初から「建替えありき」で長期修繕計画などについて十分な検討を怠っていると合意形成の段階で区分所有者の信頼を失うことも考えられます。
したがって、長期修繕計画の検討そのものは行うべきです。
問題は、検討の主体を分けるべきか、同じ組織(例えば建替え準備委員会)で行うべきかですが、別の委員会などを設け、個別に検討を行うことがより公平であるとも考えられますが、他方でそれぞれの委員会が自分たちの検討した結果について肩入れしてしまうことが多く、無用な対立を助長する危険も小さくありません。
したがって、原則として修繕計画と建替え計画は同一の組織で並行して検討することが望ましいと思います。
仮に別途の組織で検討する場合には、両組織間で情報を共有化し、十分な調整の上決議することが必要です。
建替え決議集会の召集通知には、「建替えをしない場合における建物の効用の維持または回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額およびその内訳」を記載することが定められています(区分所有法62条5項2号)。
これは、建替えを実施せずに現在の建物を維持することにした場合に必要となる修繕や改修に要する費用の額とその内訳のことであり、長期修繕計画の定めがある区分所有建物にあっては、その計画に沿った修繕を実施した場合に要する費用の額およびその内訳を示すべきものと考えられています。
また、長期修繕計画の定めがない区分所有建物にあっても、適正な維持管理を行った場合に必要となる費用の額およびその内訳を示すべきであることから、一定期間の修繕計画に相当するものを想定した上で、それに基づいて費用の額および内訳を示すべきです。
その際、単に建物の老朽化や陳腐化の実態を把握するだけでなく、区分所有者が現マンションに抱いている不満点や改善ニーズを具体的に把握し、管理組合として必要であると考えられる修繕および改修工事の内容を設定し、それに基づいて修繕および改修費用を算定することが重要です。 |