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法律に定められた厳格な要件と手続きにより、知事の認可事業として行うのが円滑化法による事業であり、デベロッパーとの民事契約(等価交換契約)により行われるのが等価交換事業です。したがって、円滑化法事業では手続き等の煩雑さやそのための費用が必要になるものの、比較すれば法的な安定性は高く、権利を保全しながら事業を進めることができ、区分所有者にとっては安心して事業に参加できると考えられます。 |
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等価交換事業は通常土地建物に関する権利をすべていったんデベロッパーに処分し、そのデベロッパーが事業主体となって新しいマンションを建設する事業ですから計画の主導権や重要な意思決定権は基本的にデベロッパーに属することになります。そのため、デベロッパーは売り主と同様の法的責任とリスク負担を行い、区分所有者は細かいことに煩わされることなく建替えを行うことが可能です。これに対して、円滑化法事業(組合施行)では事業に参加する区分所有者が自ら建替組合を組織し事業の主体となって、重要な意思決定を行う点で両者は大きく異なります。両者の中間的な事業手法が円滑化法の個人施行方式です。 |
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等価交換ではいったんデベロッパーに建物土地の権利が移転するため、その後の区分所有者の権利保全をいかに行うかについては、等価交換契約の内容によることとなります。これに対して、円滑化法事業では法律に基づいて権利変換計画にしたがって登記簿上に権利が公示され、保全がはかられる点で両者には差異があります。 |